飛び出す絵本「いなかっぺ大将」Part.8

 

★「いなかっぺ大将」の面白情報箱

<ストーリー>

故郷の青森で動物たちと暮らしていた「大ちゃん」こと風大左エ門(かぜ だいざえもん)のずっこけながらのサクセスストーリー一流の柔道家を目指し、亡き父親の親友だった大柿矢五郎に招かれ、東京に住み込み修業にやって来た。矢五郎の娘のキク子は、幼なじみの花子にそっくりの美少女で、父親ゆずりの柔道家だった。大柿道場では、二足歩行する奇妙なトラ猫に出会うこの猫を、ニャンコ先生と仰ぎ、必殺技「キャット空中三回転」を習得する。大ちゃんは、意地悪な西一さんや、豚丸木さんなど、ユニークな人たちと触れ合いつつ、ずっこけで失敗の日々を過ごしながらもたくましく成長して行く物語

★テレビ番組での放映

いなかっぺ大将」全208話

  • 放映テレビ局  フジテレビ系
  • 放映時期    1970年10月4日~1972年9月24日
  • 放映時間    毎週日曜日 午後6時~6時30分

*イタリアなど海外でも放送された(古めかしい日本の文化が理解されたのかどうか、興味がある)

★テレビ版「いなかっぺ大将」のオープニング主題歌「大ちゃん数え唄」

作詩/石本 美由紀

作曲/市川 昭介

歌/吉田 よしみ(天童 よしみ)

天童よしみが本名で歌った

 

一ツ他人(ひと)より 力もち

二ツふるさと 後にして

花の東京で 腕だめし

三ツ未来の大物だ

大ちゃん アッチョレ 人気者

てんてん てんかの いなかっぺ

 

四ツ弱気は 見せないで

五ツいつでも 猛稽古(もうげいこ)

きたえぬけぬけ 得意わざ

六ツむしゃくしゃするときは

大ちゃん ドバット 丸はだか

てんてん てんかの いなかっぺ

 

七ツ七くせ 悪いくせ

八ツやっぱり なおらない

九ツ困った すびばせん

十でとうとう ずっこけた

大ちゃん ポッチョレ いい男

てんてん てんかの いなかっぺ

 

★テレビ版「いなかっぺ大将」のエンディング主題歌「いなかっぺ大将

作詩/石本 美由紀

作曲/市川 昭介

歌/吉田 よしみ(天童 よしみ)

 

ゆくと決めたら 一歩も退くな

意地が男の 杖なのさ

強い嵐を まともに受けて

腕と心を みがくのさ

てなこと言っても 力んでも

ずっこけ丸出し オヤ気がひける

 

姿ばかりじゃ 女(おなご)にゃもてぬ

男らしさが 大切さ

もって生れた 正義の血潮

守り通して 生きるのさ

てなこと言っても 力んでも

ずっこけ丸出し オヤ気がひける

 

想う一念 岩をも砕く

水の心が 俺は好き

やればやれるさ いなかっぺ大将

ひとり柔(やわら)の 道を行く

てなこと言っても 力んで

ずっこけ丸出し オヤ気がひける

 

★「いなかっぺ大将」の原作漫画は?

 「いなかっぺ大将」は、1968年(昭和43年)8月号から小学館学年誌で連載された漫画が原作となる。掲載が始まった当初は、主人公の大ちゃんは、熱血柔道漫画のヒーローとして描かれていたが、途中からズッコケキャラクターに変化してしまった。ズッコケの大ちゃんに人気が出てきたので、アニメでは最初からズッコケ大ちゃんで登場した。

★原作者 川崎のぼる

1941年(昭和16年)、大阪府出身。本名は、川崎 伸。中学卒業後、「乱闘・炎の剣」で漫画家デビュー。さいとう・たかをのアシスタントを経て、貸本漫画で活躍した。代表作は、梶原一騎原作で作画を担当した「巨人の星」で、一気に国民的な人気漫画家となった。

作風は、本作品「いなかっぺ大将」のようなギャグマンガ風なものから、「巨人の星」のような劇画風まで、幅広い。1968年いなかっぺ大将、1971年「荒野の少年イサム」、1973年てんとう虫の歌とヒットを続け、そのすべてがアニメ化されている。

★一度聴いたら忘れられない主題歌「いなかっぺ大将」を歌っている歌手は?

 「いなかっぺ大将」のCDが発売されたのは1970年。歌っているのは、「吉田 よしみ」。実は、この「吉田 よしみ」とは、天童よしみの本名だ。当時、高校1年生の天童よしみ歌手デビューする前に歌った貴重なCDなのだ。7歳のころから、数多くののど自慢大会に出場し、優勝を勝ち取っていた素人歌手の天童よしみが、テレビの「日清ちびっこのどじまん」に出演したことで、抜擢されてCDデビューしたのが、いなかっぺ大将」だ。

★この本に登場する人物

  • 大ちゃん

本作品の主人公。「大ちゃん」は、愛称で正式な氏名は、「風 大左エ門(かぜ だいざえもん)」。小学4年生(後に進級して5年生)。青森で動物たちに囲まれて過ごしていたので、動物と会話ができ、袴と下駄とふんどしを愛用している。亡き父に一流の柔道家を目指せと言われ上京する。猫の「ニャンコ先生」から必殺技「キャット空中三回転」を修得し、小学生ながら黒帯だ。

  • 西くん

大ちゃんの同級生。大阪出身で大阪弁を話す。やせっぽちでメガネをかけ黒っぽい服を着ている。大ちゃんとは、ケンカ友達だが、時には助け合うこともある。正式な氏名は、「西 一(にし はじめ)」。「西 二(にし ふたつ)」という弟がいる。

  • 先生

 黒部先生。白ばら学園の体育担当の男性教師で柔道部の顧問。がっしりした体格で豪快な性格。大ちゃんを育てる熱血漢で厳しくも優しい教師。

 ニャンコ先生。大ちゃんの柔道の師匠で必殺技「キャット空中三回転」の修得を指導する。二足歩行をするトラ猫のオス。八百屋で飼われていたが、大ちゃんのところに移り住むようになる。キャット空中三回転の掛け声「とってんぱーの にゃん ぱらりっ」が決め台詞。

  • 小左衛門(イヌ)

秋田犬と野良犬とのハーフで大型犬。名前は「小左エ門(しょうざえもん)」。無芸大食だがいざというときには頼りになる。

  • キクちゃん

 大ちゃんの下宿先のお下げ髪の美少女で名前は、「大柿キク子」。大ちゃんが一目ぼれしてしまう。性格は勝気。

  • ハナちゃん

 大ちゃんの幼馴染の美少女で名前は、「森 花子」。大ちゃんに会うためにときどき上京してくる。キク子とは恋敵。

  • キクちゃんのお父さん

 キク子のお父さんで大ちゃんの亡き父の親友。柔道家で大柿道場の道場主。名前は、「大柿 矢五郎」。大ちゃんのお父さんとの約束で大ちゃんを柔道家として育てる。