飛び出す絵本「アイアンキング」Part.9
★「アイアンキング」の面白情報箱②
★アイアンキングの原作漫画はあるの?
「アイアンキング」は、原作漫画ありきのテレビ化ではない。1971年(昭和46年)に放映された佐々木守氏企画の宣弘社「シルバー仮面」の視聴率が伸びず大敗したことへの雪辱戦という意味合いで、再度テレビ企画されたもの。
漫画としては、テレビ放映の後、漫画家斉藤あきらが「アイアンキング」の題名で「小学一年生」誌上で1973年(昭和46年)4月号~1974年(昭和47年)3月号まで連載した。
★アイアンキングのプロフィール
- 身長:45メートル
- 体重:5万000トン
- 飛行速度:マッハ3
- 活動限界:1分間(後に水分がなくなるまでに変更)
霧島五郎が、「アイアン・ショック!」の掛け声とともにポーズをとるとターニングハット(帽子)からアンテナが伸び、そこから吹き出した霧状のスチームに包まれてアイアンキングに変身する。
水をエネルギー源としているので、燃費が悪く、その活動限界はわずか1分間。番組の途中から燃費が改良され、活動限界も「アイアンキングから水分が無くなるまで」となった。
また、エネルギーの消耗具合は、星型の発光器官により判別できるようになっている。
- 30秒で胸の「アイアンスター」が消灯する
- 50秒で首の「キングスター」が消灯し
- 1分を過ぎると額の「アイアントップ」が点滅する、そして、光が消えてしまうと
強制的に変身前の霧島の姿に戻ってしまう。弦太郎を助けるために登場したはずのアイアンキングが逆にピンチに追い込まれてしまい、弦太郎の反撃によって逆に助けられるという場面が見られる。短い活動時間や、敵との戦いを人間の弦太郎に頼るという展開に、「史上最弱のヒーロー」などというありがたくない名前で呼ばれることがある。
★「アイアインキング」は、主役ではないの?
タイトル名を「アイアンキング」と名のっているにもかかわらず、主役は巨大戦士アイアンキングではないという不思議な作品。では主役は誰かというと、テンガロンハットにウエスタンファッションというスタイルで登場する国家警察機構の静玄太郎なのだ。武芸百般に通じていて、巨大ロボットを相手に普通の人間が立ち向かって倒すという他のヒーローものとはヒト味もフタ味も違った作品である。彼がアイアンキングに変身するのではなく、相棒の桐島五郎がアイアインキングに変身するややこしさ。しかし、アイアンキングは、これまで登場したテレビヒーローのなかで一番弱いのではないかと思う。これがこの作品を摩訶不思議な雰囲気を持つ魅力的な作品にしているのではないか。
★「アイアインキング」は、なぜ弱いの?
アイアンキングは、静弦太郎の相棒霧島五郎が変身した巨大戦士。霧島五郎は、アイアンキングに変身する能力を開発した津島博士から授けられたが、水を動力源にしているため、活躍時間は一分でしかない。わずか一分しか活躍時間がないため、現れたとたんにピンチに陥ってしまう。ウルトラマンは、3分でも足りなかったというのに、わずか1分では何もできないのは、もっともといえる。
しかもアイアンキックが使う得意技の多くが、ほとんど効果ない武器でしかない。主役の静弦太郎を助けるどころか、普通の人間でしかない静弦太郎に助けてもらって敵を倒すという頼りない巨人戦士なのだ。
★静弦太郎は、巨大ヒーロー作品のなかで最強の人間
アイアンキングが頼りない巨人戦士といわれるなか、主人公の国家警備機構のエージェント静弦太郎は、巨大ヒーロー作品のなかで最強の人間ではないかと言われている。鞭や剣に変身するアイアンベルトを武器に次々と怪獣を倒して大活躍。おかげで巨人ヒーローのはずのアイアンキングの方は、どんどん影が薄くなってしまった。
昭和30年代に日活映画「ギターを持った渡り鳥」シリーズで活躍した小林旭をほうふつとさせる静弦太郎はカッコウよく最高の人間ヒーローではないかと思う。
<静弦太郎の武器>
- アイアンベルト
アイアンベルトは、静弦太郎が持つ武器で剣や鞭に変化する。静弦太郎という人間が巨大ロボットを相手に奮闘粉砕しているのだ。
★アイアンキングに変身する霧島五郎とは?
霧島五郎は、国際警備機構の特派員。津島博士に改造されアイアンキングに変身するようになった。変身するときには、ターニングハットを利用する。武器は、光線銃とキュロットガンだが、三枚目的な役柄なのだ。
★行動を共にしている「ゆき子」とは?
番組初期に登場していた人物。フルネームは、「高村ゆき子」といい、高山植物の研究者で静弦太郎や霧島五郎と一緒に旅する女性だった。しかし、演じていた女優が、撮影中に事故でやけどをして降板せざるを得なくなった。
★「アイアンキング」の敵「不知火族」は宇宙ではなく日本の先住民族?
およそ二千年前、大和朝廷に滅ぼされた日本の先住民の末裔という設定の「不知火族」は、日本政府の転覆を狙い破壊活動を始めている。この敵に対抗して日本は、国家警察機構の静弦太郎とその相棒の霧島五郎に、不知火族を倒すことを任務として与えた。
番組のなかでは静弦太郎と霧島五郎は、漫才コンビのように掛け合いで笑わせてくれる。しかし、敵を前にしたときに、静弦太郎は一転厳しいまなざしでアイアンベルトを武器に敵に挑んでいく。巨大ロボットを人間の姿で倒していくヒーローは、頼もしい限りだ。
しかし毎回、不知火族の首領不知火太郎はコントローラーで巨大ロボットを操作して破壊活動を続けている。
一方、霧島五郎は三枚目だが、なかなか魅力的な人間だ。水をガブガブ飲みながらアイアンキングに変身するのだが、なにせ水がエネルギー源なのでおよそ一分程度しか活躍できないのでいつも苦戦をしている。このことが最弱の巨大ヒーローといわれるゆえんなのだ。
★テレビヒーロー作品では珍しく大物俳優を起用
ヒーローものの主役をつとめる俳優は、新人がつとめることスターへの登竜門というのが通例だが、「アイアンキング」では主役の静玄太郎を「石橋正次」が演じている。また、相棒の霧島五郎役は、「浜田光夫」という当時の売れっ子スターを出演させた。
石橋正次は、この当時「夜明けの停車場」という曲をヒットさせ、歌手としても、俳優としてもテレビ、映画で大活躍していた。日活映画の「あしたのジョー」の主題歌も歌っている。
浜田光夫は、昭和40年代に日活の黄金時代に青春映画で「吉永小百合」の相手役として活躍した大スターである。当時、子供向けの作品に出演したことが話題になった。
★登場する巨大ロボット
- ダブルサタン(分身ロボット)
不知火順三郎が操縦する緑色の目が特徴の巨大ロボット。背中に操縦席がある。左手の指先に自分と同じ姿の小型ロボットを装備していて分身を繰り出す。最大6体に分身することができる。
身長:40メートル
体重:5万2000トン
- バキュミラー(バキュームロボット)
不知火順一郎が操縦する赤い目が特徴の巨大ロボット。左手に強力な吸引装置を装備しており、逆回転させると突風を起こせ、飛行もできる。
身長:50メートル
体重:4万8000トン
- デビルタイガー(火炎ロボット)
不知火順四郎が操縦する火炎放射器を装備している巨大ロボット。飛行や地中にもぐることが可能。時速120キロで、腕力は80万馬力。
身長:42メートル
体重:4万7000トン