飛び出す絵本「赤胴鈴之助」Part.5

★「赤胴鈴之助」(とびだすえほん)P.5、6の映像と本文

<本文>

鈴之助、まっていたぞ。」

 その夜、さゆりと 鈴之助が 八幡さまへ おまいりに いっての 帰り道です。

「あっ 雷之進さん・・・それに・・・。」

「ふふ・・・。おれは、雷之進の 兄の 岳林坊と いうものよ。よくも 弟に はじを 

かかせて くれたな。」

 いうが早いか 岳林坊は、鈴之助に むかって、槍を つきだしました。

「まつ まってくれ、あれは 試合じゃないか。それを うらむなんて・・・。」

「うるさい!!。」

きょうだいは、鈴之助 めがけて かかってきます。鈴之助も しかたなく 刀を

ぬきました。その時です。

「あっ だれかが くる・・・。」

さゆりが さけびました。

「ちっ、まずい。鈴之助 しょうぶは この つぎまで おあずけだ。」

ふたりは さって いきました。それを みて さゆりが、

「うふふ、うまく だまされたわ。」

「なんだ。今のは うそだったのか。」

「そうよ。」

ふたりは、声を たてて わらいました。

 だが、じつは さっきから、鈴之助の ようすを みていた 男が 柳の 木のかげに いたのです。ぶきみな 鬼の面を つけた その男は、いま 江戸の町を さわがしている、鬼面党の 首領 だったのです。

「うーむ、できる。あの 鈴之助という者を、なんとしても なかまに しなくは。」 

赤胴鈴之助」(とびだすえほん)P.5、6の解説

本を広げると道のまんなかで切り合いが始まっている。中央では、鈴之助に切りかかる雷之進と兄の岳林坊雷之進が刀で切りかかり、岳林坊は槍を構えている。心配そうにさゆりが、鈴之助の後ろに控えている。

後ろの柳の木の陰から鬼の面をつけた鬼面党の首領が切り合いの様子をうかがっている。右奥の空には、三日月が出ている。

<登場人物>

<登場場所>

  • 八幡様へお参りに行った帰り道

<登場するしかけ>

  • なし。