飛び出す絵本「GODZILLA ゴジラ」Part.7

★「GODZILLA ゴジラ」の面白情報箱

<ストーリー(1984年に公開された映画)>

この本(作品)は、1954年に公開された初代「ゴジラ」を基にしたストーリーではなく、1984年に公開された「ゴジラ」に基づいたストーリー展開になっている。

伊豆諸島の大黒島が突如噴火した。その地域で遭難した漁船からミイラ化した乗員が発見され、その背後には巨大な生物の影が認められた。生物学者の林田博士はその生物こそ30年前に東京を襲撃したゴジラだと推察する。

1954年当時、水爆実験の影響で200万年前の太古の眠りから覚めたゴジラが東京に上陸し、破壊の限りを尽くした防衛のために、国を挙げてゴジラに攻撃をかけたが倒すことはできなかった。そのゴジラが再び東京を襲ってきたのだ。今度こそ、ゴジラを倒すことができるのか

★特撮の神様「円谷英二」はどんな人?

1901年(明治34年)生まれ。福島県須賀川市出身。本名は、圓谷英一(つむらや えいいち)特撮(特殊撮影)技術の第一人者で、映画やテレビ業界に多大な功績を残したことから「特撮の神様」と呼ばれている。円谷のもとには、若く才能のある人材が集まり、作品制作を通して技術とその後の特撮映像の発展に貢献した。

★「ゴジラ」誕生の秘話

円谷英二は、第2次世界大戦中、戦争をテーマに映画を作らざるを得なかったが、戦争が終わったことで、みんなに喜んでもらえる映画が創りたいと考え、1948年に「円谷特殊技術研究所」を設立して映画作りに専念することにした。円谷は、1933年、アメリカで大ヒットした「キングコング」見て、衝撃を受けていた。自分も恐竜をテーマに映画を作りたいと考えていた1954年にビキニ諸島で日本の漁船、第五福竜丸アメリカの水爆実験の犠牲に乗組員がなった事件に遭遇した。このことをヒントに水爆で恐竜が目覚めたという映画を制作することで、核実験の恐ろしさを表したいと考えた。こうして、日本初の怪獣映画「ゴジラ」が誕生した。

ゴジラ」は、アメリカの「キングコング」と並び、世界でもっとも有名な怪獣だ。

★「ゴジラ」のネーミング

ゴジラという名前は、陸の「ゴリラ」と海の「クジラ」をもとに作られた造語

★「ゴジラ」は、着ぐるみで役者が演じていた

1964年、東宝が第1作目の特撮怪獣映画「ゴジラ」を公開してから始まるシリーズ作品を「ゴジラ映画」と呼んでいる。ゴジラ映画では、演技者が着ぐるみに入って演じる手法をとって撮影をしたが、それ以前の映画1933年、アメリカで制作された「キングコング」は、一コマ一コマ、キングコングを動かしながらコマ撮りをしてつなげていく手法をとっていた。コマ撮りで映画を完成させるには、7年程度の歳月が必要となる。早く完成させるためには、着ぐるみで撮影する方法しかなかった結果、これが臨場感のある画面を作り出した。その後、日本の特撮の主流となり、多くの作品を制作することになった。

★初代「ゴジラ」の中で演じた役者はだれ?

 初代ゴジラの着ぐるみに入って演じたのは、中島春雄さんという屈強な肉体を持った役者。世界で初めて着ぐるみを着て演じるので、人間が入っていることを感じさせず、人間的な動きを排除するために、無駄のない動作を心がけていた。さらに、上野動物園に1週間通って、動物たちの動きを観察した。一番参考になったのは、象だったようで。すり足で、足裏を見せず、重量感があったとのこと。ゴジラのゆっくりとした動きや、すり足のような足の運びは日本伝統芸の「能」の動きを参考にしている。また、ゆっくりとした動きを再現するために、ゴジラの足裏に鉄板の下駄が入れてあって足が上がりにくく工夫を加えていたゴジラ演じた中村さんは、「のどの部分に小さな穴があって、そこから外を見て、息を吸う暑いし、重いし、苦しいしい密閉空間だった」と話をしていた。

ゴジラの鳴き声は、どうやって作られたの?

 存在しない架空の怪獣の声を作るためには、色々なアイディアや工夫が必要だ。最終的に採用されたのは、コントラバスに滑り止めの松ヤニを塗り、皮手袋でこすった音が元に、音を重ねるなど加工して完成

ゴジラ映画は、アイディアの宝庫だった

ゴジラが吐く熱線で鉄塔が溶けてグニャグニャになる場面を撮影するのに、ミニチュアの鉄塔を「ロウ」でつくりグニャグニャ感を再現した

②巨大なゴジラと役者が演じる場面は、あらかじめ撮影しておいたゴジラの大きな顔を、スクリーンの後ろから映して、その前で役者が演技をする手法「スクリーン・プロセス」を活用した

③爆風でビルが壊れていく場面再現するために、風で簡単に飛んでいく「ウエハース」でミニチュアのビルを作って、強い風を送って粉々になっていく様子を再現した

④ビルが火災で燃え上がる場面では、「たどん(木炭の粉を固め乾燥させた燃料)」でビルを作り、燃え上がる場面を再現した

★「ゴジラ」のロゴの特徴は?

この飛び出す絵本(作品)の表紙で見て取れるが、ゴジラのタイトルロゴには、特徴がある。それは、「ゴ」や「ラ」の右上の角の尖っているところがカットされて、角が取れているこれがゴジラだ。

★映画「ゴジラ(初代ゴジラ)」の公開

1954年11月3日、ゴジラシリーズの第1作「ゴジラ」が日本で公開された。監督は本多猪四郎、特殊技術を円谷英二、脚本を村田武雄、音楽を伊福部昭が担当日本での観客動員数は、961万人の大ヒットとなった。当時の日本の人口は、8800万人だったから、国民の11%が観たことになる。

ゴジラ映画は、海外でも大人気

スターウォーズ」のルーカス監督や「ET」のスピルバーグ監督を夢中にさせた。スティーブ・ジョブスも、幼いころに「ゴジラ」で体験した恐怖感を再現したいという思いが「ジェラシック・パーク」につながったと話をしている。

防衛庁の秘密兵器「首都防衛航空艇スーパーⅩ」とは?

陸上自衛隊の機動兵器。もともとは、有事を想定して首都防衛要塞として建造されたが、ゴジラの放つ火炎に耐えられる兵器であったので、ゴジラの掃討作戦に使用された。装甲が熱に強いチタン合金とセラミック製耐熱タイルの複合材で作られたVTOL機(垂直離着陸機)