飛び出す絵本「怪傑 ライオン丸」Part.9

★「怪傑 ライオン丸」の面白情報箱②

★原作漫画はあるの?

 原作漫画のアニメ化ではなく、漫画家うしおそうじが企画、原作を担当して制作されたテレビ番組である。テレビ放送が始まったのち、冒険王誌上で1972年5月号~1973年3月号まで一峰大二作画で掲載された。さらに、小学館の学年雑誌で馬場秀夫をはじめ多くの漫画家の作画で掲載された。

★この作品の企画原作を担当した「うしおそうじ」は、どんな人?

うしお そうじは1921年生まれで、日本の漫画家、アニメーター、特撮・映像作品プロデューサー、演出家。また、映像製作会社「ピー・プロダクション」の創業者でもある。本名は鷺巣 富雄(さぎす とみお)

戦前、東宝に入社し「線画室」(東宝技術部特殊技術課線画係)で、特殊技術課課長だった円谷英二に師事する。戦後、東宝に復帰しアニメや実写合成作品に携わり、円谷からも高い評価を受けていた。

1947年、「探偵815号」(五月書房)で漫画家デビューした。東宝の組合争議に嫌気がさして退社し、赤本漫画の制作に取り組んだ。赤本ブームが去ったのち、「うしおそうじ」の筆名で少年誌に「赤房の子天狗」など時代劇を題材にした漫画掲載し人気を博した。

うしおの結婚式に招待されていた人気漫画家の手塚治虫は、遅刻してしまいお詫びとして「結婚行進曲」を即興でピアノ演奏したところ、出席者のみんなは、大喜びで拍手喝采だった。

 1960年、株式会社ピー・プロダクションを設立担当した初めてのアニメは、「0戦はやと」。その後、虫プロから依頼された「鉄腕アトム」の制作を手掛けた。1966年に「マグマ大使」「ハリスの旋風」などを制作した後、1972年、この作品の基となっている特撮テレビドラマ「怪傑ライオン丸」を制作

 1973年、サンケイ新聞紙上で漫画「風雲ライオン丸」を掲載漫画家、アニメーター、特撮製作者、経営者とマルチな活躍をした。2004年逝去。享年82.

★この作品に登場する人物

本作品の主人公。戦乱で両親を失い、果心居士に育てられた青年沙織からは「獅子丸さん」、小助からは「獅子丸兄ちゃん」と呼ばれる果心居士から「金砂地の太刀」を受け継ぎ、その秘められた力によりライオン丸に変身ゴースンの配下の怪人たちと戦う

ライオン丸は、深紅のコスチュームに白いたてがみをなびかせた獅子面の剣士印を結ぶようなポーズをとって「風よ、光よ」と唱えると、「金砂地の太刀」に施された鎖による封印が解け、その太刀を引き抜いて縦に構え「忍法獅子変化」と唱え、太刀の峰に手を添え切っ先から鍔へと勢いよく滑り下ろし打ち付けることでライオン丸に変身する。必殺技は、高くジャンプして一気に切り下ろすライオン飛行斬り

  • さおり(沙織)

果心居士に育てられた女忍者。16歳。戦乱で両親を失った普段は心優しい女性だが、戦いになると勇敢で果心居士から与えられた小太刀と投げ縄を武器にドクロ忍者と互角に戦い、暗黒魔人にも立ち向かう小助は「沙織姉ちゃん」と呼ぶ

  • 小助

戦災孤児の少年で、果心居士に育てられた弟子7歳すばしっこい動きを生かし、小太刀と横笛を利用した吹き矢を武器とする。横笛を吹くことで、天馬ヒカリ号を呼ぶこともできる。また、火薬の使い手でもある。獅子丸からは「小助」、沙織からは「小助ちゃん」と呼ばれている

  • 果心居士

 この作品中には、登場しないが物語の上では、重要な人物。獅子丸たちの育ての親で師匠に当たる。大魔王ゴースンの送り込む刺客によって殺される運命であることを予見し、獅子丸には金砂地の太刀、沙織には小太刀、小助には天馬ヒカリ号を呼ぶことのできる笛を形見として託した。

ライオン丸の愛馬とは?

快傑ライオン丸」の愛馬は、天馬ヒカル号体に翼が生えており、空を飛ぶことができる白馬小助の持っている横笛を吹くことによって、どこからともなく現れる。死んだ果心居士の魂が宿っている。

ライオン丸の必殺技の飛行切りとは?

快傑ライオン丸」に登場するライオン丸の必殺技で、飛び上がって空中から敵を両断する。

★ゴースン党メンバー(一味)

配下の暗黒魔人を使って日本征服を目論む。その正体は、かつて果心居士の兄弟弟子としてインドで妖術を学んだ忍者、豪山彼の組織は、ゴースン党と呼ばれ、怪物に化けて山の中に潜み、口だけで暗黒魔人に命令を与えていた

  • わくらんば(みのむし怪人)

浪人たちを集めて国を滅ぼそうとした怪人。鉈を武器として所持し、頭部から葉を飛ばして相手に張り付けて殺す。また、刀が出てくるみの虫を使った罠を使うが、このみの虫の中にはドクロ忍者が隠れている

  • ドクロ忍者

ゴースン配下のドクロの面をつけた忍者軍団忍び装束は黒が基本だが、それ以外に緑、朱色などがあり、般若の面を着けた者も登場することもある。切られると消滅する。ドクロ忍者の首領は、ドクロ仮面

  • ギンザメ

ギンザメという名前だがサメには見えない黒山金山を襲撃し、これを乗っ取ったギンザメは、金塊の力で日本征服の野望を果たそうとしている。頭に角とドクロの飾りがついた甲冑をまとい、長い槍を持って黒馬にまたがって登場ライオン丸と騎乗での戦いを繰り広げる。戦国武将の風格がある。

ムササビをモチーフとした怪人忍者・久兵衛から火薬の製法を奪い、それを使ってゴースンの国を造ろうとした武器は、槍と手裏剣ムササビのように飛行や瞬間移動が可能。作った火薬で街を破壊しようとしたが、小助たちの活躍で失敗。

  • オボ

トカゲのような顔に肋骨を持つ怪人。武器は、先にハサミがついた杖で、ドキ、ツララと共に杖を投げて相手の動きを封じる。また、口から炎を吐くこともできる。和平のための密使を狙うが、ライオン丸に阻まれ、飛行斬りであっさりと倒されてしまった

  • ドキ

土器(埴輪)をモチーフとした怪人。土器のように体が粘土と砂利でできている。武器は、金剛杖。指から蜘蛛の糸を放ったり、ツタを操って相手をがんじがらめにすることもできる。瞬間移動も可能のようだ。

  • つらら怪人

仏像のような顔をした怪人先が氷柱のようになった槍を持ち、指先から氷柱発射して攻撃する。

  • フラワンダー

花をモチーフにした人食い花怪人フラワンダーの鮮やかな花の中からドクロ忍者が現れる戦乱で母を亡くし、父とも生き別れとなった百合姫を襲うが獅子丸にじゃまをされる

  • オロチ

果心居士を殺害するためにゴースンが送り込んだ怪人オロチという名前から大蛇をイメージするがさなぎのようにも見える両端が刃のブーメラン刀を相手目がけて飛ばす攻撃をする。口からは炎を噴射し、土の中に潜ることができる。体は硬い甲羅で覆われており、外すこともできる