飛び出す絵本「ポパイ」Part.9
★「ポパイ」の面白情報箱②
★主人公の「ポパイ」とは?
水兵のセーラー服姿でいつも口にコーンパイプをくわえている。小柄で両腕には猫の形の入れ墨をしている。温厚でお人好しだが、力任せで強引なところもある。 ほうれん草の缶詰を食べて超人的なパワーを生み出し、恋人のオリーブを巡ってもめ事を起こす恋敵のブルートをやっつけてしまう。ほうれん草の缶詰を食べる時には、缶詰は缶きりを使わず、握り潰して開けて、ほうれん草を流すように食べてしまう。
★ポパイはなぜ、「ほうれん草の缶詰」が好きなの?
1929年から始まった世界大恐慌を乗り切るため、ルーズベルト大統領は、ニューディール政策をとった。失業対策にT・V・Aの公共事業を実施したことは教科書を通してよく知られているが、もう一つの課題は、農産物の余剰相手を対策であった。その対策の一つとしてポパイを利用したのである。
雑誌の中にコミックとしてポパイを登場させ、ほうれん草の缶詰を開けて、ほうれん草を食べた途端に腕の力こぶがモリモリと膨れ上がり相手を倒してしまう場面を掲載した。これを見た読者が野菜をたくさん食べてくれることを期待してポパイを宣伝に使ったのだ。すなわち、余剰となった農産物の消費を促すためにポパイは、ほうれん草の缶詰を食べ続けていた。
★アメリカでは、「ほうれん草の缶詰」が売られているの?
当時、冷蔵技術が発達していなかったため、広大なアメリカのなかで、ほうれん草を生のまま流通させることはできなかった。そのため、アメリカでほうれん草を流通させるため、缶詰は作られた。冷凍技術の進歩により生のほうれん草生の流通が可能になると「ほうれん草の缶詰」は徐々に姿を消していった。
★この作品に登場する人物
- スィーピー
スウィービーと表記されることが多い。ポパイが養子にしたという赤ん坊。ませた赤ん坊で頭がよく、言葉を話せる。目を放したら危険な場所へ出歩きするなど騒動を起こしてはポパイ達を困らせている。
- オリーブ・オイル
ポパイの恋人。痩せっぽちで決して美人とはいえないが、牧場や店を経営し自活しているしっかり者で気が強い女性。ポパイとブルートの二人に振り回されて痛い目にあうことが多い。彼女も缶詰のほうれん草を食べるとパワーが出せ、ポパイの代わりに危機的状況を打開したこともある。
- ウィンビー
太った中年男性。ハンバーガー好きで、いつもハンバーガーを持ち歩いている。ハンバーガー欲しさにポパイに金をせびることもある。彼の名にちなんだハンバーガーチェーン「ウインビー」が存在する。
- ブルート(ブルータス)
ポパイの同僚の水兵で恋敵。身長2メートルを越すヒゲ面の大男。ポパイ以上の腕っ節の強さを持つ。乱暴な性格だが物語の冒頭ではポパイと仲良くしている。オリーブに惚れており、ポパイから奪い取ろうとしてケンカを始める。最後には必ずほうれん草を食べたポパイにやられる。
悪役だが、時々、ポパイと協力して彼以外の悪役キャラクターに立ち向かう場面もある。ポパイやオリーブと同様、彼も缶詰のほうれん草を食べるとパワーが出せる。根っからの悪人ではなく、ポパイの良きけんか相手というところ。